世界音楽人 file2. 農澤明大(ワールドシップオーケストラ・コンサートマスター)


Q. ぷーさんも、幼稚園にやってくるおばちゃんの演奏を聴いていたのがきっかけでバイオリンをはじめたように、生で見聴きする体験が、人生と音楽と関わりを作るスタートだと思います。ワールドシップでは、そのオケを見聴きするチャンスが日本よりさらに少ないアジアの子ども達にはじめてのコンサートを届けるわけですが、どんな時間を届けたいですか?

昔、地元の奈良駅前で、路上ライブをしていた時期があります。
その半年くらい後のある時、奈良でバイオリンを教えている先輩のところに、新しく男の子がバイオリンを習いにきたと聞きました。先輩が「なんで習いたいとおもったの?」と聞いたら、その子は「奈良駅前で弾いてるお兄ちゃんを見てやりたいと思った」と答えたそうで。ちょっとばかり駅前で演奏をしたことでも、種を蒔けたのがその時はとても嬉しかったです。

10814301_10203074471251715_190752667_nワールドシップでは、尚更「本物」を届けたいという気持ちが強いです。もし僕たちがしょうもない演奏を聴かせてしまったら、逆にそれが子ども達の人生で1度きりの体験になってしまう可能性すらあって。だからこそ、僕らは聴いている側が本当に楽しめる、感動する演奏を作るために、全力を尽くす必要があると思っています。

そのためには、想いの上に、やっぱり音程であったり、リズムであったり、ある程度形にしなくちゃいけません。僕らに出来るベストを尽くして、それをまとめあげていくためにも、コンマスとして自分も頑張りたいと思います。そこまでして初めて、その時だけの感動ではなくて、「僕もやってみたい!」という気持ちを抱かせることが出来ると思うので。

Q. 日本や海外で生演奏を届けた先に、子ども達にはどんな風に音楽と接していって欲しいと思っていますか?

僕は、楽器の専門家を増やしたいとは思っていません。

いま、日本で音楽系大学を卒業する人は年間8千人いるんですが、実際その殆どが、演奏だけでは食べられていないんですよね。
だからこそ「音楽を、生活を豊かにするものとして楽しんで聴き、接することが出来る人」、音楽の良き理解者の存在を増やしていきたいと思ってるんです。



Q. その意味で、ワールドシップオケに参加するというのは、自分の人生において音楽とどう接していくのかを見極めるとても良い経験になるよね!

そう思います!

 

ーインタビューを終えてー

「聴く力」を持つ人達は日々の生活をより豊なものにすることができるし、今演奏では生計を立てられていない音楽家たちがより社会に必要とされる。農澤はアウトリーチを通して、そんな音楽社会のWin-Winを目指しているんだなと感じます。(野口)

 

WS0_200×200_農澤農澤明大

奈良市出身。四方恭子、五十嵐由紀子の各氏に師事。大阪クラシック、ムジークフェスト奈良、ベップ・アートマンスなど多くのイベントに出演。国際音楽学生 フェスティバル2012日本選抜メンバー。また、フランス、イタリア、オーストリア、ドイツ、フィリピンなどで路上ライブを敢行、好評を博す。2011年 東日本大震災直後には友人らとチャリティーライブを二週間にわたって行い、約200万円を義援金として送る。2013年よりタリス室内合奏団コンサートマ スターに就任。2013年にはドイツにてBerliner städt Streicher、Orechester Berliner Musikfreundeの練習に参加。第40回奈良県新人演奏会に出演。UUUオーケストラ四期コンサートマスター。国内でも多くのオーケストラに賛助 として出演。現在はオーケストラを中心に後進の指導にあたるなど、関西を中心に精力的に活動中。第7回秋篠音楽堂室内楽フェスタにて聴衆賞受賞。第35回 国際口笛コンクールティーンエイジ部門全体2位入賞。奈良女子大学附属中等教育学校、相愛大学音楽学部音楽学科弦楽器専攻卒業。現在、神戸大学大学院国際 文化学研究科芸術文化論コース博士課程前期在学中。現在ワールドシップオーケストラ副代表、コンサートマスターを務める。

 

あなたもワールドシップオーケストラに参加しよう!

2015年の2月と3月、フィリピンとカンボジアそれぞれ9泊10日のツアーの中で、現地のオーケストラの共演ステージを創りあげ、数千人の子ども達にとっての「はじめてのコンサート」体験を届けます。

海外がはじめて?ブランクがある?心配要りません!日本中から集う仲間たちと、人生を変え、世界を響かせる旅をしよう!

少しでも心がワクワクしたあなたは、今すぐWSOのホームページをチェック!

http://world-ship.org/orchestra/