世界音楽人 file3. 宮永理央(ワールドシップオーケストラ運営スタッフ/ヴァイオリン奏者)



[nextpage title=”海外での音楽教育への興味” ]

世界を舞台に音楽する“ワールドシップな人たち”の生き方を紹介するシリーズ「世界音楽人」
第3弾は、ワールドシップオケのバイオリン奏者であり、運営スタッフも務める宮永理央です!

WS0_200×200_宮永宮永理央

神奈川県出身。4歳よりヴァイオリンを始める。 国立音楽大学音楽学部演奏学科弦楽器専修卒業、同時に管弦楽コース修了。これまでにヴァイオリンを所素子、大関博明、武藤伸二、風岡優の各氏に、室内楽を 久元祐子氏に師事。 現在はフリーランスとしてオーケストラ、室内楽、オペラ等を中心に活動している。野口の主宰するフィリピンでのオーケストラ活動に過去2回参加。ワールドシップオーケストラヴァイオリン奏者、運営スタッフを務める。

Q. ワールドシップに関わるようになったきっかけ

2013年の夏休み、Facebookで「フィリピンでオーケストラを演奏しよう!」という投稿を見かけて興味を持ちまして。海外旅行が好きで、しかもオーケストラをやっている私はグッと来たんです。ホームページで詳細を見ると、たまたまお知り合いの指揮者が振ることになっていたこともあり、このUUUオーケストラ(注:WSO代表の野口が今年の9月まで主催していたフィリピン・セブ島での演奏ツアー)に参加しました。

Q. 海外と言ってもフィリピンのような東南アジアの国はあまりイメージが湧かなかったのでは?

高校生のころ、青年海外協力隊に興味を持っていた時期がありました。小さな頃からヴァイオリン、オーケストラ続けてきてたんですが、世界の第一線で演奏のみで活動する人間になるわけではないだろうけど、先生(教育者)として音楽に関わりたいと思っていて。

高3の時、エルシステマのドュダメルについての新聞記事を読んで、ここから50年位で西洋音楽はアメリカ・ヨーロッパだけでなく世界中に広がっていくんだろうな、自分にもそのお手伝いができたらなって気持ちを持つようになりました。

10632774_930955026921688_6417766326181906962_n家族からのアドバイスもあって、ひとまず音楽大学を目指して、受験が終わってからまた考えようと思っていたんですが、進学校で周りはほぼ一般大学に進む中、音楽の道に進む自分は受験中結構ストイックな毎日でしたし、いざ大学に入るとエルシステマのことを知っている人は周りにいなくて。そんな話が出来る仲間も周りにはいませんでした。音大という目標の見えた競争社会、閉ざされた世界で、学生が求められるのは人一倍多く練習をして、演奏の中でリーダーとなっていくこと。卒業後のことを考える余裕はそんなにありませんでした。

私にとってヴァイオリンを演奏するということは、社会に対しての自分自身の表現だと思っています。でも正直、大学を卒業してからの1年、音楽を仕事としてやっていくのは難しいな、両親に高いお金を出してもらって死ぬ気でやってた割には音楽で成功できてないな、でも、せっかく出たのだから何か学びを生かしたい…と思っていて。悩んでいたタイミングでこの活動に出会いました。

現地に行くと、ヴァイオリンばっかり20年やってきた私だからこそ、直接フィリピンの子ども達に還元できる何かがあったわけで。そこで自分の中で生まれた考えを深めながら、それを仕事にしていけたらいいんじゃないかと考えられるようになりましたね。

[/nextpage]

[nextpage title=”WSOが生むインパクト” ]

Q. 実際に参加してみて、自分たちの演奏が子ども達に与えたインパクトは感じましたか?
10622850_930958293588028_955952378479805802_n

私は、勿論日本の私たちから見ると犯罪とか貧困とか問題が沢山あるように見えますが、フィリピンの子ども達はそれが当たり前の世界で生きていて、今の環境に絶望しているわけではないと思うんです。

ただ、これからの将来、少し広い世界に出会った時に、音楽を聴いたことがあったから、オーケストラが楽しいと知っていたから、何か次のチャンスに繋がる可能性があると思います。「知らない」ことは何にも繋がらないけど、どんな小さなことでも「知って」いれば将来のチャンスに意味を持つと思うので。

そして、私自身ユースオーケストラで長く演奏してきたんですが、演奏を聴いたその時の感動やインパクトの先に、その後に繋がる継続的な教育の道を作ってあげることが大事だと実感しました。

Q. 逆に、宮永さんや他の参加メンバーが得たものは?

この活動では、「子ども達にとっての初めての体験を作る」のと同時に、「自分たちにとって初めての体験をする」ことも出来ます。

日本でクラシックを仕事にするという人は、ある程度クラシックの世界を知った上で足を踏み入れるわけですが、フィリピンで演奏するとき、そこは私たちの知っている「クラシックの世界」が出来上がっていないところです。たとえば交響曲の演奏をするとき、日本では終楽章の最後の音が鳴り終わると拍手が起きますが、フィリピンではお客さんが良いと感じた瞬間が拍手のポイントだったり。

予想できない環境での演奏体験には、気付きがあります。日本のクラシックをやる人たち全体の雰囲気で求められてる「巧さ」だけが大切なわけではなくて。勿論演奏レベルが高いに越したことはないけど、演奏以外の部分で興味を持たせたり、聴き手が期待している音楽をするための工夫を設ける過程も、大切だと思うようになりました。

Q. 今はスタッフとして、奏者としてワールドシップの一員。これからワールドシップの仲間になる人に向けて、何かメッセージがあれば!

私にとって、ヴァイオリンを弾く以外の人生は考えられません。
旅行もすごく好きで、いくつになっても、色んな新しいところに行き続けたい。
その2つが重なったのが今の行き方であって、人の役に立つ形で続けていけるのがこれだと思っています。

私がヴァイオリンを通して学んだ大切なことの一つは、「続けること」です。
「自分が人生を通して続けてきたことを人に教える」っていうのはそのまま、「自分の生き方を人に伝える」ことだと思うんです。練習はきつかったし、たくさん怒られました。でもストイックに何かを続けることの大切さ、そしてそのメンタリティーの有り難みを教えてくれた両親、先生、競い合った友人たちに感謝しています。

みなさんもこれまで続けてきたことにぜひ誇りを持ってほしいです。その「続けてきたこと」がどんな場所で、どう誰の役にたつか、そのパターンは本当に無限大です。
楽器を持って、今まで行ったことがないようなところに行ってみることが、人生の大きな一歩になると思います!

 

あなたもワールドシップオーケストラに参加しよう!

2015年の2月と3月、フィリピンとカンボジアそれぞれ9泊10日のツアーの中で、現地のオーケストラの共演ステージを創りあげ、数千人の子ども達にとっての「はじめてのコンサート」体験を届けます。

海外がはじめて?ブランクがある?心配要りません!日本中から集う仲間たちと、人生を変え、世界を響かせる旅をしよう!

少しでも心がワクワクしたあなたは、今すぐWSOのホームページをチェック!

http://world-ship.org/orchestra/

[/nextpage]