世界音楽人 file1. 野口彰英(ワールドシップ代表)後篇〜音楽で世界と繋がる〜



世界を舞台に音楽する“ワールドシップな人たち”の生き方を紹介するシリーズ「世界音楽人」
ワールドシップオーケストラのキャプテン野口彰英、前篇〜引きこもりがワールドシップを立ち上げるまで〜中篇〜世界で求められる音楽〜からの続きとなります。

ー「音楽」と「世界」というキーワードで印象に残っている経験は?

61466_10151280793119166_1504003871_n僕自身が海外に出て行った時の話をすれば、カンボジアでクメール音楽を教えている人や生徒と即興コラボしたり、インドでバイオリンを勉強中の子どもやアメリカからボランティアで教えにきているファゴット先生とセッションをしたり…そんな経験を多くの国でしています。

大学で東京に出てくるまで九州すらろくに出たこともなかった僕ですが、フィリピン留学をきっかけに色んな国を旅行していて、これまでに30ヶ国ぐらいは行ったと思います。クラリネット一本あるだけで、お互い言葉がわからなくとも、お互い知っているメロディを吹きあったり、お互いに楽しく、いい関係を築けて、音楽のおかげで打ち解け合う経験を何度もしました。

逆に日本での経験はちょっと質が違って。学生時代、ご縁が会って憧れのサイトウキネンオーケストラで少しだけアルバイトをさせて頂いていた時に、少し英語が話せるという理由で、小澤征爾音楽塾の蝶々夫人のオペラ公演ツアーに約1ヶ月同行させていただきました。

世界各国から音楽家、演出家らプロフェッショナルが集まっているチームで、イタリア語のオペラである蝶々夫人のストーリーに全員が共感し、プロフェッショナル一人一人がプライドをかけて最高のものを生み出そうと力をあわせていて。

あらゆる分野のプロに、同時に同じ方向を向いて全力を出させる求心力って、音楽芸術以外にきっと持ち得ないなと思いました。全員の本気が重なった時に生まれる目に見えない力やその先の感動を信じているからこそ、そこにいる全員が惜しみないベストを尽くせるんだと心から思いましたね。

 

ー企画しているワールドシップオーケストラ、日本からの参加者にはどんな体験をしてほしいですか?

音楽とポジティブな向き合い方ができてる人とできていない人がいるのが日本の音楽界だと思っています。

日本で専門的な音楽教育を受けた皆さんの中で、それが海外の子どもたちにとって素晴らしい体験になるという発想を持っている人はどれだけいるでしょうか。ワールドシップへの参加はある意味でその人にとってのスタート地点で、その後人生において音楽とどのように関わって行くかを考えるきっかけにしてほしいと思っています。皆さんがこれまで、好きだからという理由でやってきたことが、誰かにとって生きる意味になりえるということを身を持って知ってほしいし、音楽の技術、音楽に対する愛をどこで誰のために使うのかを考えるきっかけにしてほしいんです。

そして、実際に現地の団体と指導者として継続的に関わるという道を歩んだり、地元の部活などに教えに行く活動をはじめたり、今いる環境だけでなく、自分がより必要とされる場を見つけられる人が増えればいいと思います。日本で音楽をしている人たちの意識を変えたいですね。

 

ーWSO春ツアーで、フィリピン・カンボジア子どもたちに届けたいものは?

僕の一番の感動体験はさっきお話した蝶々夫人ですが、本当に毎日毎日の演奏に、「何百人が一斉に本気を出したらこんなにも心を揺さぶるんだぞ」という感動を受けていました。

そういう場というのはそうそうないんです。例えば50人が同じ方向を向いて同じことをするというのは、オーケストラ以外にはありません。

同時性という意味でも、人間がお互いの役割を本気で担い合ったときの威力を音に乗せて伝えられるのがオケです。全員が主体的に力を出した時、輪になった時の本気の結集を聴いている人に伝えたいです。これって、なかなか南国のフィリピンやカンボジアで見られることではないんですよね。

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2015春ツアーの準備ため現在出張中のカンボジアより!

そして、演奏で子ども達に感動を届けるだけでなく、その先に、音楽教育への参加、ジュニアオーケストラに入る手だてを用意したいですね。僕たちが演奏をして、音楽を始めたいと思った子どもたちが、じゃあどこで勉強したらいいんですかという時に、ここに連絡したらいいよと、受け皿はきちんとコーディネートすることも僕たちの大切な役割だと思っています。

オーケストラを見たことも聴いたこともないフィリピンやカンボジアの子ども達は、新しいことを必死に吸収しようとしてくれます。こちらが何かを仕掛ければ必ず受け止めてくれます。MCにしてもそうだし、こっちが一歩踏み出したことに対して、向こうも相応のレスポンスを返してくれます。これは日本にはないことなので、運営もメンバーも主体的に行動して、みんなでたくさんの仕掛けを子どもたちに届けたい、チーム皆で届けてきたいと思います。

 

[野口彰英]ワールドシップ代表
平成元年生まれ。福岡県古賀市出身。高校中退後、大検合格を経て2012年3月に中央大学法学部を卒業。在学中にフィリピン大学政策科学部にて1年間の認定留学。留学中は現地孤児院や教育施設と協働しグループ音楽教育の浸透、指導者の養成にも取り組む。また学生時代に小澤征爾音楽塾オペラプロジェクト「蝶々夫人」にて演出家通訳を務める。大学4年時に「セブ島の子ども達にクラシックを届けるUUUプロジェクト」を立ち上げ、以降2014年9月までに主宰した現地オーケストラとの4回の演奏ツアーで、のべ150人以上の日本人奏者の参加を受け入れ、2万人以上の子ども達にコンサートを届ける。2014年9月より、より多くの国・地域へのオーケストラの派遣を実現し音楽教育の輪を世界中に拡大するため、新たに「ワールドシップ」を立ち上げる。クラリネット奏者。
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あなたもワールドシップオーケストラに参加しよう!

2015年の2月と3月、フィリピンとカンボジアそれぞれ9泊10日のツアーの中で、現地のオーケストラの共演ステージを創りあげ、数千人の子ども達にとっての「はじめてのコンサート」体験を届けます。

海外がはじめて?ブランクがある?心配要りません!日本中から集う仲間たちと、人生を変え、世界を響かせる旅をしよう!

少しでも心がワクワクしたあなたは、今すぐWSOのホームページをチェック!

http://world-ship.org/orchestra/